時は年末、忘年会のシーズンである。
だが、外に出るのがとても億劫だったので、
友人を家に招き、こたつで忘年会を開いた。
友人はこたつに入るなり、こんなことを切り出す。
友 「何か足りないな。
やっぱりこたつと言えばあれだろ、あれ。
あれはないのか?」
私 「そう言うと思って用意しておいた」
友 「おお、気がきくな」
私 「はい、りんご」
友 「みかんだろ!み・か・ん!!」
だが、残念ながらうちにはりんごしかなかった。
友 「で、なんでこんなりんごあるの?」
私 「友達からもらった」
友 「どうせもらいものなんだ。
せっかくだから変な食べ方をしてみよう」
私 「どうやって?」
友 「壁にバンッ!って叩きつけて、それに群がる」
私 「カブトムシみたいだな・・・」
結局、りんごは電子レンジで
気が済むまで温めることになった。
気になるお味の方はというと。
私 「温かいりんごの味がする」
友 「温かいりんごの味がする」
りんごを温めると、温かいりんごの味がする。
1つ大きな発見をした。
友 「最近、1人でできる趣味を求めている。
何か良い趣味はないか?」
私 「貧乏ゆすり」
友 「ちょっと貧乏くさいな」
私 「じゃあ貴族ゆすり」
友 「もっとさもしい感じになった」
ところで、年が明ければ
すぐにセンター試験が始まる時期だ。
私 「それにしてももう受験の季節だな。
受験生たちを見ていると、
身が引き締まるような気分になる。
やっぱり人間シャキっとせねばな」
友 「さすがこたつでゴロゴロしている
人間が言うと説得力があるな」
私 「そうだろう。
ああー、全てが面倒だ。
立ち上がることさえできない」
あれこれ話している内に、
話は今日の核心、忘年会へと及んだ。
友 「せっかくの忘年会だし、
忘年会について考えよう」
私 「そうだな・・・。
忘年会というのは、忙年会とも言えるだろう。
そして忙とは、心を亡くすと書く」
友 「ほほう、それで?」
私 「何かうまいことを言おうと思ったのだが、
何も思いつかなかったのでこの話は終わりです」
友 「今日はいつもに輪をかけてやる気がないな」
私 「で、何か忘れたいことはあるのか、若人よ」
友 「忘れたいこと?
俺の輝かしい経歴には
覚えておきたいことしかないな」
私 「あー、はいはい。
もう十分忘れてるね。
忘年会やる意味ないね」
忘年会は終了した。