昨日も書いた通り、
上野へ行ってきた。
上野は恐ろしい町だった。
まず、住民のほとんどはパンダだ。
ありとあらゆる施設が
パンダ向けにデザインされている。
なので、ファッションも
基本的にパンダ向けの店しかない。
当然、注意書きも全てパンダ向けだ。
恐ろしいことに、鳩さえもパンダだった。
すべてがPになる。
もちろん、用事で会った人達も
軒並みパンダだった。
しかし、幸い言葉が通じる
パンダだったので、
用事は滞りなく進んだ。
だが、異変は突然起きた。
私の同行者が、出されたお茶を
飲んだ瞬間、突如として
苦しみ始めたのだ。
「ウッ!苦しい!水、水をくれ!」
そう叫んでいる内に
彼の図体は大きくなり、
身体中が白黒の体毛で
覆い尽くされ始めた。
うめき声も次第に
「水をくれ」から
「笹をくれ」に変わっていった。
テーブルを見ると、いつの間にか
飲み物と一緒に笹も出されていた。
彼はそれを夢中で取り、
もっしゃもっしゃと食べながら、
「俺がッ・・・俺が人間の内に殺してくれ!!」
と、竹槍を渡してきた。
しかし、私が躊躇していたら、
全身をP-ウィルスに侵され、
「笹、うま・・・」
などと漏らし、気だるげに笹を食う
ごく普通のパンダになってしまった。
私は他のパンダを見渡した。
その目は顔の黒模様に隠され、
何を考えているか
窺い知ることができない。
だが、それは漆黒の闇のように
黒々としたものだった。
私は恐怖に取りつかれ、
すぐにそこから走って逃げた。
そして、この事実を伝えるために、
ブログを書き始めた。
だが、キーボードを打つ手には、
白と黒の体毛が・・・
(手記はここで途絶えている)