この前の休日、友人のツトム氏の家に遊びに行った。
ツトム氏は料理が趣味で、
手料理を振る舞ってくれるとのことだ。
ツ 「今日は俺が料理作ったるぜー!」
私 「いぇー!」
ツ 「今日の夕飯はカレーだー!」
私 「ヤッター!」
さすがは趣味の力。
ツトム氏はすごく楽しそうで、
ハイテンションだった。
近くのスーパーで食材を買ってきて、
ささっと野菜を洗った。
さぁ、料理開始だ。
まず、ツトム氏は皮むきを始めた。
じゃがいもやにんじんの皮を、
三角コーナーの上でむいていく。
しかし、徐々に様子がおかしくなり始めた。
ツ 「ああ、またじゃがいもの皮が
三角コーナーの外に出ちまった。
じゃがいもの皮が三角コーナーの
外に落ちるのが許せない。
でもにんじんの皮が三角コーナーの
外に出ても許せる。
にんじんは、そういうのを超えている。
内とか外とかじゃない。
にんじんは赦されている。
じゃがいもは赦されていない。
わかる?」
私 「わからねぇ・・・」
ツ 「にんじんは赦されてる・・・
でも、じゃがいもは赦されてない・・・」
その後、私はずっと彼から
にんじんとじゃがいもの皮観を聞かされた。
私は恐怖を感じた。
その後、野菜を切り、肉を炒め、
ルーを煮込む段階に入った。
友人はさらに続けた。
ツ 「ぶっだ、俺って、
あまり人と話したくないんだ。
世間のことに興味がない。
ずっと1人でいたい。
真っ暗なトイレで30分ぐらい
じっとしていたりする。
わかる?」
私 「(カレーって、人をこんなに
落ち込ませる食べ物だったか・・・?)」
その後しばらく経ち、
カレーは完成した。
ツ 「できた・・・」
自閉症めいたダウナー系カレーの完成だ。
こんな負のエネルギーが込められた
カレーは初めてだった。
しかも部屋の照明は暗く、
陰鬱な空気を醸し出している。
そして水気びしゃびしゃなルー。
友人には悪いが、
このカレーはダメな気がする
ツ 「さぁ、食べてみてよ・・・」
私は仕方なくカレーを一口食べた。
私 「うまい・・・!」
ツ 「だしょー!やっぱ俺って料理の才能あるわ!」
私はカレーの本当の作り方を知った。
みんなもカレーを作る時は、
気分を暗くして現実から離れて作ってね!