我が家に火という文明がもたらされた。
読者の中には、
火というものを初めて見た
私のような人が
たくさんいると思う。
なので、この火という
存在について説明しよう。
これは実に画期的な代物だ。
これがあれば今までのように
ナウマン象やクマの襲来に
怯えることもないし、
寒さに震えることもない。
また、冷たい食べ物を
温かくすることもできる。
これまで生肉にかじりついていた
縄文人の方々には朗報だろう。
さらに夜でも明るいという
経験も得られる。
夜などは寝るしかできなかったのが、
歌ったり踊ったり、
神々へ生贄を捧げたり
することもできるのだ。
それにしても、
ゆらめくたき火の炎を見ていると、
つい他のたき火道具が
欲しくなってしまう。
これがいわゆる炎上商法というやつか。
確かに厳に慎むべき行為だ。
そんなことを思いながら、
今日、狩りで獲ってきた
鹿の肉を火にくべた。