公園に行くと、たいていどこの広場にも鳩がいるものだ。
その鳩をつかまえたいと思うのは、人間が持つ最も根源的な欲求の一つだろう。
そこで今日は、どうやったら鳩をつかまえることができるかについて考えてみよう。
まず、最もやってはいけないのが、追いかけまわしてつかまえようとすることだ。
そんなことをしては到底つかまえることなどできないだろう。
これは人間関係についても同じだ。
もし初対面の人間が両手を大きく広げてこちらに走ってきたら、あなたはどうするだろうか?
当然、走って逃げるほかあるまい。
では、もし相手がふところからミスドのポンデリングなんかをちらりと見せ、
あまつさえこちらにくれそうな雰囲気だったらどうだろう?
きっとあなたは心動かされ、感じのいい人だな、ちょっとお茶でもしてみようかな、などと思うに違いない。
鳩についても同じことが言える。
あなたは、そこらへんで買ってきたパンや、
さっきつかまえてポケットの中に入れてある虫なんかを鳩にあげてみればいい。
これで第一段階は終了だ。
次のステップに移ろう。
いざ、食べ物を与えてみると、向こうも恐る恐るこちらに近づいて来るはずだ。
ここであなたは、鳩を抱きしめたいという衝動に駆られるだろう。
だが、焦ってはいけない。
人間関係と同じく、関係というものはゆっくり時間をかけて深めていくものだ。
その日は食べ物を与えるだけでおしまいにしよう。
そして次の日も同じことを繰り返そう。
食べ物を与えて、こちらからは近づかない。
そして来る日も来る日も同じことを繰り返す。
鳩との間にラポールが芽生え始める。
そうして長い月日が経つ。
段々と鳩の話す言葉もわかってくる。
そしていつしか我々は鳩の鳴き声を口ずさんでいることだろう。
ここまで来ればもうゴールだ。
鳩をつかまえたいなんてことは、どうでもよくなっているはずだ。
我々はもはや人間ではないからだ。
もう立派な鳩だ。
さぁ、魅惑の鳩社会へ羽ばたいていこう。