ひょんなことからお食事券を手にした。
汚職事件じゃない方である。
額は1万円。
小市民な私は、
どうしていいかわからない金額だ。
うまくやりくりすれば半年は
食っていけそうな気もする。
しかし、せっかくのあぶく銭、
いや、あぶく食事券。
あぶくのようにパァーっと
使ってしまうがよかろう。
そういうわけで、高級フグ料理店の前に来た。
しかし、小市民な私、ここでおじけづく。
こんな贅沢をしたら、
今後、何か悪いことがあったとしたら、
「あの時あんな贅沢をした罰が当たったんだ・・・」
などと良心の呵責に苛まれるだろう。
それはフグの毒よりも強い毒となり、
わが身を苛むことは必至。
私はなすすべもなくフグ料理店を後にした。
フグ ○ ー × 私
(0ラウンド 敵前逃亡KO)
この食事券は今度、友人達と集まった時、
「ガハハ!これで好きな物を食え!」
と、成金のようにばらまこうと思う。