前回のつづき。
https://www.buddha01.ooo/entry/2019/02/25/235929
海の幸を求めて大地を放浪していると、
こんな回転寿司屋を私は見つけた。
トリ・・・トン?
聞いたことがある。
トリトン、それは太古の昔に
存在した海神の名だ。
三叉の矛と法螺貝を持ち、
大いなる力で地中海世界に君臨したという。
その名を冠するとあっては、ただ事ではない。
きっと、この荒れ狂う回転寿司界を統べる
主のような店なのだろう。
私は厳かな気分で、のれんをくぐった。
最初に注文したのは味噌汁だ。
やはり、いきなり寿司を注文するのは気が引ける。
まずは流動食でお茶を濁したい。
しばらくすると味噌汁はすぐに出てきた。
第1品目
神の怒りに触れてバラバラになったえび。
やはりここは海神の住まう場所なんだ。
私はその力に恐れおののいた。
その後、幾ばくかこの哀れな
甲殻類の前に立ち尽くしていると、
突然あたりを異様な空気が包んだ。
このプレッシャー・・・
これは間違いなくトリトンのそれである。
とうとう奴が現れるのだ。
天は割れ、地は裂け、皿は回り、
轟きをあげながらトリトンは
その姿を現した。
どうやら思っていたのとは
ちょっと違ったようだ。
その後はなごやかムードで
寿司を楽しんだ。