だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

ソフトクリームと私

子どもの頃、私はソフトクリームをよく食べた。

ソフトクリームは私の大好物で、中でもチョコソフトは大のお気に入りだった。

ところで皆さんはおいしいものを食べる時、どのような戦略で臨むだろうか?

おいしいものを後に残して、ゆっくり食べる人が多いのではないか。

私もそういうタイプの人間だ。

しかし、ゆっくり食べていると、だんだん溶けてコーンの下からこぼれはじめていく。

私はその事実にショックを受けた。

そして、この世界には何か重大な間違いがあると悟ったものだ。

他にも様々な問題を目撃した。

魚を与えるより、魚の釣り方を教えろとよく言われる。

そういう観点からいけば、我々はソフトクリームよりソフトクリーム製造機を押さえなければいけないはずだ。

だが、決して手の届かないソフトクリーム製造機。

ソフトクリームより冷たい社会の現実。

そういったものに私は打ちのめされたものだ。

だが、そんなこの世界の矛盾も、チョコソフトの甘さは優しく癒してくれるのだった。

こうして子供時代の私はソフトクリームに導かれて育った。

だが、こうした関係が崩れるのが中学時代だ。

このぐらいの年齢になると、人々はブラックコーヒーに手を染め始め、

甘いものに対して軽蔑の視線を向けるようになるものだ。

私もそのようなお年頃になった。

そしてチョコソフトに対して、何となくよそよそしい態度を取るようになった。

そしてそのまま大人になり、今ではすっかり甘さ控えめなタフガイになってしまった。

チョコソフトを食べている子どもを見ると、少し懐かしく感じると同時に、思うこともある。

「なぁ坊主、今はチョコソフトを楽しむのも良いだろう。

だが、私のような硬派な大人になるためには、いつかはチョコソフトを卒業しなければならないんだ」

そんなことを思いながら、私はビターで大人なモカソフト、ダブルラージサイズをむしゃむしゃと食べるのだった。

アマーイ。