最近、巷ではVRなるものが流行っているらしい。
臨場感あふれる光景に人々は歓喜し、夢中になってプレイしているという。
皆もきっと喉から手が出るほど欲しいと思っているはずだ。
大切なのは拡張現実より縮小現実だ。
両者は形状が非常に似通っているため、外見から区別することは不可能だ。
だが、よく考察してみると両者には大きな違いがある。
それを一緒に考えていきたい。
まず、リスクについてだ。
VRは、プレイをしている間、当然視界も聴覚も集中力もゲームに持っていかれる。
ということはつまり現実世界の防御がおろそかになるということだ。
すると、ゲームは人を暴力的にすると信じてやまない暴徒達が、
どこからともなく現れて暴行を加え、あなたは命を落とすことになるだろう。
一方、アイマスクはどうか?
こちらは視界は遮られる代わりに、聴覚は研ぎ澄まされる。
外敵の接近にも気づくことができるだろう。
ヘルハウンドや殺人ドローンが現れても、きっとうまく対処することができるはずだ。
漫画やゲーム、映画などでも目の見えないキャラは、たいていすごく強い。
つまりそういうことだ。
では、次に価格についてはどうか?
これも大きな違いがある。
VRは、なんといっても高い。
シベリアの農奴である私は、妻子を売らなければ手が届かない値段だ。
一方、アイマスクは二束三文で買うことができる。
すなわち、私は長年使い古した鋤や鍬を売るだけですむのだ。
あとは、環境への影響についてだ。
VRは当然のことながら電気を消費する。
それはつまり、電気を作り出すために工場が稼働するということだ。
そして化石燃料は燃やされ、温暖化は進み、大気はけがれ、地上には毒の雨が降り、地球は滅亡するだろう。
一方、アイマスクは環境に優しい。
アイマスクを使用しても何ら環境に悪影響を与えることはない。
酸素を二酸化炭素に置き換える我々人間を除いては。
・・・とまぁ、あれこれと書いてきたが、一番根本的な問題を考えよう。
そもそも、一体どうしてゲームの中でもゾンビに追いかけられたり、
サメに食べられたりして怖い思いをしなければならないのだろうか。
我々は現実世界で散々〆切に追い回されたり、悪いヒューマン達に食いものにされているではないか。
それよりはアイマスクがもたらす安らかな眠りに期待しようではないか。
睡眠は、我々をゲームより遠く現実から引き離してくれる。
睡眠こそが、我々人類に残された最後のフロンティアだ。
そして夢の中で、ゾンビに追いかけられたり、サメに食べられたりするのだ。